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かば院長コラム

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直腸脱のお話

直腸脱のお話

①直腸脱とは?
直腸脱とは、直腸の壁全体が反転して、肛門から脱出する病気です(図1)。直腸脱は高齢女性に多い病気で、骨盤底の筋肉が緩み、直腸の固定が低下することが原因で、便秘や排便時のいきみが誘因になります。男性に発症する場合もあります。
 直腸脱は発症すると自然に治癒することはなく、根治するには手術が必要です。ただし御高齢の方が多いため、持病等の全身状態によっては、全ての患者様に最適な治療ができるとはかぎりません。
 しかし手術をおこなわないで放置すると、脱出した腸管が傷ついて出血し、腸がむくんで戻りにくくなります。また、肛門を締める力が低下します。外出することも億劫になり、引きこもりがちになると、足腰が弱くなり、最終的には全身状態の悪化にもつながります。

②直腸脱の診断
診断は、腸が肛門から脱出している状態を観察できれば一目で分かります。脱出していない状態での診断は難しいため、診察時に脱出していない可能性もあるため、脱出した時の写真(スマートフォンの画面等)を準備していただくと、診断は容易です。

③直腸脱の手術療法
直腸脱の手術には、経会陰的方法(以前に当院でおこなっていた、Gant-三輪-Thiersch法、Delorme法、Altemeier法など)や経腹的方法など、いくつかの方法があります。現在当院では、根治性が高く再発率が低い治療法として、腹腔鏡下直腸挙上固定術(Wells法)を第一選択としています(図2)。全身麻酔と数日の入院が必要となるため、盛岡赤十字病院外科と連携し、当院から執刀医が赤十字病院へ出張し手術をおこないます。当院は、日本内視鏡外科学会技術認定医(消化器・一般外科領域 大腸)および日本臨床肛門病学会技能認定医が常勤しており、技術面だけではなく安全面に関しましても、患者様が安心して治療を受かられるように努めております。

④腹腔鏡下直腸挙上固定術
お臍に12㎜、右下腹部に5㎜、右側腹部に5㎜の小さな穴を、合計3か所あけて手術をおこないます。お臍のポートからカメラをいれて、お腹の中をモニターに写し出して手術をおこないます。お腹の中の状況(癒着や内臓脂肪の状態)によっては、左下腹部ないしは側腹部、恥骨上にも5㎜の穴を数か所追加しておこないます(図3)。
脱出している腸管を引っぱり上げて、仙骨前面にメッシュとともに固定します。術後の傷は、開腹手術と比較すると一目瞭然であり、術後の傷の痛みも少なく、整容面に関しましても優れた治療法です(図4)。手術直後から脱出することはなくなり、再発の心配もほとんどありません。術後は速やかに元の生活に戻っていただけます。